以前、「生きづらさ」についての記事を書きました。
仕事が苦しくて仕方なかった頃から、環境が変わり、少しずつ見える景色まで変わっていったことについて書いた記事です。
今回は、その「環境が変わって、何が違ったのか」を、もう少し仕事の面から振り返ってみたいと思います。
新しい環境で仕事をするようになって、私は「伝えること」の大切さについて考えるようになりました。
「何を求められているのか」がわからなかった
以前の仕事では、上司から仕事への姿勢について、いくつかのフィードバックを受けました。
- 考えを深めること。
- 業務改善を積み重ねること。
- 主体的に仕事をすること。
どれも、社会人として大切なことだと思います。
ただ、業務中にさまざまな言葉で指摘されることが多く、
その根底にある「求められていること」が、意外とシンプルだったことに気づけませんでした。
「そういうことを求められていたっけ?」という感覚でした。
目標を決めるときには、具体的な業務や数値目標を中心に話していました。
だから私は、その目標を達成することを目指して頑張っていました。
ところが、後になって、目標よりも、その仕事への姿勢や考え方について評価される。
それなら先に、どういう考えをもってそれを成し遂げたかが大事だよと言っておいてほしかった。共通認識がないままフィードバックをもらっても、何を求められているのか、うまく理解できませんでした。
だから、私は「何を基準に頑張ればいいんだろう」とわからなくなってしまった。
「応用が利かない」と言われた理由
当時は、「言われたことを忘れる」「応用が利かない」と言われることもありました。
確かに、私は一つひとつの指示を受け止めることで精一杯でした。
でも、今振り返ると、単純に物覚えの問題だけではなかったのだと思います。
私には、その仕事の「共通する考え方」や「目的」が、十分に見えていませんでした。
別々の場面で言われたことを、
「これは、あのとき言われたことと同じ考え方なんだ」
とつなげるための土台が、自分の中になかったのです。
「点ではなく、面で考えるように」と言われても、そのときの私には「点を線で考える」という体験すらしたことがありませんでした。
今思えば、そこには私自身の経験不足もあったと思います。
でも同時に、経験の浅い側には、長年の経験から自然に身についた「当たり前」が見えていないこともあります。
だからこそ、今になって思います。
「何をするか」だけではなく、「なぜそれをするのか」「何を大切にしているのか」まで共有されていたら、もっと違った受け止め方ができたのではないか。
新しい環境で気づいたこと
その後、環境が変わりました。
以前の記事でも書いたように、新しい上司との面談では、これからやりたいことや苦手なことなどについて、前向きに話をすることができました。
そして、仕事の目標を考えるときにも、
「こういうスタンスで仕事をしてほしい」
「部署としてこういう考え方を大切にしている」
「2年後、3年後はこうなっているといいね」
という話を、最初に共有してもらいました。
また別の機会に会話した際も、一貫性があり、
部署のみなさんがイキイキと働いているように見えるのも、納得できました。
その経験をして、初めて気づいたことがあります。
同じ「自分で考えて仕事をしてほしい」という言葉でも、目指す方向が共有されているかどうかで、受け取り方は大きく変わるということです。
もちろん、仕事では自分で考えることも必要です。
すべてを教えてもらわなければ何もできない、ということではありません。
でも、
「この方向を目指して、自分なりに考えてみて」
と言われるのと、
「(方向性がわからないまま)なぜこれができないの?」
と後から言われるのでは、自分の中に生まれるものが違います。
後者なら、先が真っ暗な自問自答の迷宮入り……。
前者なら、自分で考えながら進んでいける。
そして、もし間違っていたとしても、「方向が違っていた」と修正できます。
「相性が合わなかった」で終わらせない
周りには、「相性が合わなかったんだろう」と言う人もいます。
確かに、仕事の進め方や考え方が合わなかった部分はあったのだと思います。
当時はつらかったし、今でも納得できないことはあります。
でも、そこで止まってしまったら、残るのは「嫌だった」という記憶だけです。
それは、少しもったいない気がします。
あの経験があったからこそ、
「自分は、こういうふうに仕事を教えてもらえると理解しやすいんだ」
「人に何かを求めるときは、最初に目的や方向を伝えることが大切なんだ」
と気づくことができました。
これは、これからの自分のために使える経験でもあります。
いつか、自分が誰かを教える立場になったら
今の私は、まだ人を育てる立場ではありません。
だから、上司の気持ちが本当の意味でわかっているわけでもありません。
もしかしたら、当時の上司には、私には見えていなかった考えや事情があったのかもしれません。
いつか自分が部下を持つことになったら、そのとき初めて「あのときの上司は、こういうことを考えていたのか」とわかることもあるかもしれません。
だから、今の時点で誰かを一方的に悪者にしたくはありません。
ただ、自分が教える側になったときには、ひとつ覚えておきたいと思っています。
自分にとっての「当たり前」が、相手にとっての「当たり前」とは限らない。
長年の経験の中で自然に身についたことほど、経験の浅い人には見えていないかもしれません。
だから、求めることがあるなら、できるだけ最初に伝えたい。
「何をしてほしいのか」だけではなく、
「なぜそれが必要なのか」
「何を大切にしているのか」
「どんな姿を目指しているのか」
そこまで伝えられる人になりたいと思います。
悩んでいる人へ
もし今、
「何を頑張れば評価されるのかわからない」
「言われたことはやっているのに、なぜか評価されない」
「自分の何が悪いのかわからない」
そんなことで悩んでいる人がいたら、すぐに「自分がダメなんだ」と決めつけなくてもいいと思います。
もちろん、自分に改善できることはあります。
でも同時に、求められていることや目指す方向が、十分に共有されているかも考えてみてほしい。
そして、できるなら、
「何を期待されていますか?」
「どこを目指せばいいですか?」
「優先して身につけたほうがいいことは何ですか?」
と確認してみる。
それだけでも、自分が進む方向が少し見えるかもしれません。
私自身も、まだ試行錯誤の途中です。
過去の経験を完全に消化できたわけでもありません。
それでも、あの経験をただの嫌な思い出で終わらせるのではなく、これからの自分の仕事の仕方につなげていきたいと思っています。
いつか逆の立場になったとき、
「この人には、ちゃんと道筋を示せているだろうか」
と振り返れる自分でいたい。
評価されないのが嫌だったわけではありません。
ただ、何を目指せばいいのか、その道筋を最初に示してほしかった。
そして今度は、自分が誰かに道筋を示せる人になれたらと思います。
